ラクナ梗塞(孔梗塞)とは?
- 2007年09月16日
- 院長コラム
脳梗塞は脳の動脈が閉塞して脳細胞が虚血(乏血)状態に陥り回復出来なくなった状態を言います。この脳梗塞には2種類あり脳の太い動脈(主幹動脈の第 3~4分枝まで=長径1mm前後以上の太さの血管)が閉塞して起こる狭義の脳梗塞と穿通枝動脈(長径200~300Å=0.2~0.3mmの太さの血管)が閉塞して起こるラクナ梗塞(梗塞の長径25mm以下のもの)に大別されます。ラクナ梗塞は別名孔梗塞と呼ばれています。この孔の意味は突き抜けた孔と言う意味ですから脳実質内に突き抜けた状態で存在している梗塞の事です。ラクナ梗塞は最近まで日本人に多く、狭義の脳梗塞は欧米人に多いとされてきましたが、日本人の食生活の変化(洋食化)によりラクナ梗塞対脳梗塞の比率も欧米に近づいています。事実かつて平均寿命が全国ナンバーワンであった沖縄県の男性の平均寿命が第17位に転落した統計結果も無関係ではない様です。
脳梗塞の主な原因は予防できない危険因子としは家族歴(第3親等内の身内に脳卒中がないか)、性別、年齢があり、予防可能な危険因子として、高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、喫煙、飲酒、心疾患の合併等があげられます。
一般的に加齢のみでも大脳深部(白質)にラクナ梗塞が出現し、早い人では40歳代から無症候性脳梗塞(手足の麻痺等のない脳梗塞)を認めます。従って患者さんの年齢、ラクナ梗塞の数と大きさと存在場所によって加齢変化か病的な変化かを鑑別する事は日常診療で重要です。
当院ではラクナ梗塞の大きさが10mm以上でラクナ梗塞が脳のより中心部に存在する患者には症侯性脳梗塞が将来出現する可能性を考えて抗血小板療法を行なっています。それ以下の大きさで加齢変化よりラクナ梗塞の数が多く存在しいる患者には上記の危険因子の予防療法をお勧めしています