脳卒中をどうやって予防する?
- 2007年11月27日
- 院長コラム
脳卒中の予防には、その原因つまり危険因子を良く知り、生活習慣を改善する事が重要です。それ為には、危険因子への正確な知識を持つ事が大切です。
この危険因子には、予防可能なものとそうでないものがあります。予防不可能な危険因子を具体的に挙げると年齢、性別、遺伝的素因があります。例えば、脳梗塞では80歳代の方は60歳代の方より3倍の罹患率があると考えられています。また男性は、女性よりも脳梗塞罹患率が高い事が知られています。更に父親が脳梗塞の場合は約8倍、母親が脳梗塞の場合は約3倍、脳梗塞に罹患しやすいとする報告もあります。これらはあらかじめ予防が不可能ですが、正確な知識を持つ事が大切な事と考えます。その一方で、生活習慣を変えたり、薬を服用したり、運動や食事療法で予防が可能な危険因子もあります。具体的には、高血圧症、糖尿病、高脂血症、喫煙、過度の飲酒、高尿酸血症、心臓疾患の合併等があげられます。上記の生活習慣病(高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、心疾患)にそれぞれ単独あるいは複数に罹患すると脳卒中の罹患率が数倍から数十倍になります。また喫煙に関してはタバコ1本/日から危険率が上昇しますので禁煙が必要です。飲酒に関しては、1日にビール1本、又は日本酒1合程度で止めておきましょう。運動療法に関しては、激しい運動をする必要はなく自分の体力に合わせて歩く事をお勧めします。具体的には1日6000歩(2~3km)程度が理想の様です。今からの季節は室内と室外との温度差があり、長時間外出される場合は厚着をしてまた、特に寒い日のゴルフやテニスは控える様にしましょう。
最後に、40歳以上方は少なくとも年に1回程度検診を受けられ、自分の健康状態をよく知る事が重要です。もし上記の危険因子に心あたりのある方は一度脳のMRI検査を受けられる事をお勧め致します。MRI検査を行う事で、無症状であっても脳梗塞(かくれ脳梗塞又は無症候性脳梗塞)が見つかる事や、破裂してクモ膜下出血を起こす前の状態の血管の瘤(未破裂脳動脈瘤)が見つかる事もあります。その場合は専門医(脳神経外科、神経内科)の治療が必要になります。