癲癇について
- 2008年01月18日
- 院長コラム
癲癇大部分はそれ程大変な病気ではありません。きちんとした治療を受ける事で70~80%の人で発作が消失し、また日常生活に殆ど支障がありません。癲癇の定義については大脳神経細胞の過剰発射に由来する癲癇発作を主症状とした慢性の脳神経疾患です。発作の程度は、本人だけが気がつく程度の意識消失発作からけいれん発作を主体とするものまで程度は様々です。
癲癇の原因は出産時や新生児期に髄膜炎(脳膜炎)等に罹患して脳に損傷を受けた事で起こる症侯性(続発性)癲癇と、癲癇を起こし易い体質で起こる原発性(特発性)癲癇に分かれます。また、癲癇は遺伝病ではありません。癲癇が同一家系にみられる事はまれな事です。なお癲癇と知能障害とは、ほんの一部の例外を除いて関係がありません。過去の例でもロシアの文豪ドストエフスキーやナポレオンやジュリアス・シーザーが癲癇を持病として持っていた事はよく知られている事です。
癲癇の診断には臨床症状、脳波所見(癲癇波の確認)、 MRI検査等を総合して判断をします。MRI検査で脳の詳細な構造を検査する目的は癲癇発作の中に稀に脳腫瘍を合併例があるからです。癲癇の治療は薬物療法になり、手術等は一般的にはしません。薬物療法を継続して発作が3~5年間コントロールされ、また脳波で正常化していれば内服薬をやめれる可能性が 80%程度あります。
日常生活の注意事項としては極端なストレス、睡眠不足、暗い所でのテレビゲーム等を控える必要があります。つまり規則正しい生活が大切です。妊娠については、薬で発作が予防できている場合に服薬を継続しながら妊娠及び出産をして頂く事になります。内服薬を休薬したり、あるいは減量した場合に妊娠中に癲癇発作を起こし母子共に危険な事にならない為です。しかし妊娠中に抗痙攣剤を継続した場合、服用していない妊婦さんと比較して障害児(ごく軽い奇形や障害も含めて)の出現率が約3倍、つまり一般の妊娠が3%に対してその数値が9%へ上昇すると報告されています。従ってお子様を生む場合は、障害を持った子供さんが生まれる可能性がある覚悟をあらかじめ夫婦で持つ必要があります。