急性特発性硬膜下血腫
- 2009年07月27日
- 院長コラム
急性硬膜下血腫は、一般的には頭部外傷直後から数時間以内に発症します。しかし外傷がなく、原因が不明のいわゆる急性特発性硬膜下血腫の病態がある事も知られています。例えばMizushima(Neurol Med Chir, 99)らは外傷、脳の表面の皮質動静脈奇形、血管腫、動脈瘤、また患者さんの出血傾向と関係ない急性特発性硬膜下血腫の症例が54例あったと報告しています。石井(脳神経外科,04)らはこの病態の症例報告の結語として脳梗塞、心筋梗塞等の動脈硬化性病変が基礎疾患にあり、それに加えて易出血性を助長する薬剤が投与されていた事が血腫発生に影響を与えるとしています。また、他の報告では出血性素因の一つとして血友病の患者さんにおける急性硬膜下血腫の症例でBalak(Surgical Neurology, 97)らは、成人発症の急性硬膜下血腫の半数例が外傷との因果関係はなかったと報告しています。
以上稀な病態ですが、御紹介します。