院長コラム・クリニック情報の記事詳細

めまい症ー特に高齢者について


脳神経外科の外来診療の内容も、世の中の高齢化の影響を受け、以前は頭痛の患者さんが大半を占めていましたが、最近は年々めまい症の患者さんの割合が増加しています。めまい症には、回転性のめまいと非回転性のめまい(フラツキ感と同じ意味)の二つがあり、いずれの症状も大きな意味でめまい症と呼ばれています。
このめまい症には、生命に危険を及ぼす様な脳腫瘍や脳卒中が直接原因のものと、そうでないものがあります。 今回後者の日常診察時によく見かけるめまい症について述べたいと思います。
めまい症の研究において、脳の左右の側頭葉に一つずつ体の位置を把握する中枢(頭位認識中枢)がある事がわかっています(成富、2009)。この中枢は、絶えず左右の間で連絡を取り合って体の位置の把握をしているようです。高齢者になると、この左右の連絡の速度が脳に虚血性の変化が起こっているために遅くなります。それに加えて疲れがたまったり、睡眠不足の時には更に連絡速度が遅くなる事でめまい症が起こると考えられています。このめまい症の頻度は60歳以上で約30%程度に起こると言われています。
このため、脳の精密検査で異常のないめまい症の場合は、老化の一症状であり、その対処法としては、睡眠不足を起こさない事や根を詰めて細かい作業を長時間しない事等を守って頂く事が大切です。


2011 (c) Yamamura Brain Clinic All Rights Reserved.
脳卒中(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)の予防・早期診断や脳ドック頭痛外来めまいしびれの症状でお困りの方は広島市中区の山村クリニック(脳神経外科、神経内科、放射線科)へお越し下さい。