めまいについて
- 2007年04月20日
- 院長コラム
院長コラム:めまいの代表的な疾患
はじめに:めまいとは自分の周りの物が回転したり、動揺したりまた自分自身が船酔いの様な状態の総称です。めまいの原因は頭蓋内病変等の中枢神経系疾患と耳鼻科疾患の末梢神経系疾患と全身疾患の3タイプに分かれます。原因は多岐にわたりますが代表例を列挙します。
- 中枢神経系疾患
脳血管障害の代表例として椎骨脳底動脈循環不全症があります。この病態は脳の中の体のバランスを司る脳幹部及び小脳へ分布をしている血管である椎骨動脈及び脳底動脈の血流不全(流れ難い)為に起るものです。血流不全には血管の動脈硬化による血管の走行の蛇行から脳梗塞の前段階の血管の狭窄症や閉塞症が原因で起ります。後者の場合は命に関わる事もありますので、めまいが継続する場合には一度MRI等で脳血管の状態を調べる必要があります。なお上記の血管の動脈硬化がMRI上軽症の場合でも他には原因なく、めまいを自覚されるケースによく遭遇します。その場合は推定ですが脳底動脈や椎骨動脈から分枝する穿通枝(長径 200Å程度の血管)の動脈硬化やまた先天的に穿通枝の本数が少ないケースがあるのではと推定しています。この場合は通常脳梗塞へ悪化する可能性は低いようです。その他大脳半球の特に前頭葉の脳梗塞でも、めまいを自覚する場合はあります。
また別の原因として聴神経腫瘍や脳幹部腫瘍等脳腫瘍が原因の場合もあります。 脳腫瘍の早期発見の場合に完治する場合が多いですので、めまいが継続する場合は精密検査を受ける事をお勧め致します。 - 末梢神経疾患
めまいの原因の末梢性疾患(三半規管)としてメニエール病があります。この病気は、めまいはメニエール病と言葉の語呂の良いので一人歩きして、めまいなら何でもメニエール病と考えがちです。実はある統計によると一般の外来で0.6%、めまい専門の外来でも5%程度と頻度の少ない疾患です。またメニエール病は原因が内耳のリンパ浮腫である事から回転性のめまいに必ず伴う症状としては耳鳴りと難聴があります。なお、めまいは片側でも両側でもかまいません。
他に蝸牛の耳石の移動する事が原因の発作性頭位変換性めまい症があります。この病態はある一定の姿勢になった場合例えば左下向きに寝た場合等に回転性のめまいが起る症状です。 - その他
甲状腺機能低下症、貧血等でも、めまいが起る場合があります。
上記何れも場合も継続するめまいにはまず頭蓋内の精密検査をされ脳血管障害や脳腫瘍等がない事を確認する事が大切です。