認知症と食事について
- 2009年10月31日
- 院長コラム
認知症とは知的レベルが正常に発達した後に、慢性に知的機能低下症を起こす病態です。認知症の症状を示す疾患は多数ありますが、代表的なものとしてアルツハイマー病、水頭症、慢性硬膜下血腫等があります。中でもアルツハイマー病は、治療が困難で予後も不良の疾患です。この為、痴呆症状を早期に発見する事が重要ですが、それ以上に日頃からアルツハイマー病にならない様に予防する事が重要です。今回、アルツハイマー病を予防する為には、日頃からどの様な生活を送る事が大切か述べたい思います。
アルツハイマー病は1901年ミユヘンの精神科医のアルツハイマー氏が最初に報告した初老期の進行性痴呆症です。現在痴呆症状の原因の第1位と推定されています。ちなみにその総数は65歳以上の方の20~30人に1人と考えられています。アルツハイマー病の危険因子として、加齢、頭部打撲症、知的活動の低下や運動不足等があります。また、最近アルツハイマー病の危険因子として、高血圧症、糖尿病、高脂血症等の脳卒中と類似の危険因子が注目されています。
このアルツハイマー病を予防する為様々な研究が行われていますが、その中で食生活との関係を記述した研究結果では、ビタミンB、C、E群が予防効果ある事が判明しています。この為、これらのビタミン類を緑色野菜で摂取する事が重要と考えられています。また魚の油は認知症を予防する事が知られており、毎日1回魚を食べる場合と比較して、週に1度の群は1.6倍、2週に1度の群は2倍、全く食べない群は5倍の割合で認知症になるという報告があり、積極的に魚を食べる事が認知症の予防になります。その他高血圧症や、糖尿病や、高脂血症が認知症の危険因子の為、積極的な食事療法が重要です。
最後に理想的な食事内容は、魚を1日1度、緑黄色野菜を1日2度、果物を1日1度摂取する事をお勧め致します(太田2005)。