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薬に抵抗感があるのは何故?


薬は、日々進歩しています。当たり前のことですが、新しい薬ほど効果があり副作用が少ないものです。しかし、現状では、薬に対する根強い不信感があり、長期の連用に対する抵抗感がある事も事実です。例えば、安定剤や睡眠導入剤を長期に連用すると、頭が呆けるという迷信がまかり通っています。この事は大変な誤解であり、正しい薬を正しい用法で服用すると決して呆ける事はありません。
この様な誤解をまねく一つの要因として、薬害肝炎や薬害エイズの問題で明らかになった様に、過去の厚生労働省の薬物に関する審査に諸問題があった事は事実です。この為、国民の多くの方は、薬に関しての抵抗感があり、さらにその長期の服用には簡単には解決できない不信感があるようです。また新しい薬に対する厚生労働省の許可をする時期も世界水準から見ると、先進国では圧倒的に遅く、驚く事に世界でも100番目(100ヶ国)以下の順位となることが今や常識になっています。このこと自体、国民にとっては大変な不幸です。何故なら日本で開発された世界に誇れる良薬や、諸外国の優秀な薬(販売前に何度も試験をして安全性の確立した)を発売したあと直ぐに日本では手に入れる事が出来ません。
具体例を挙げると、代表的な認知症のアルツハイマー病の治療薬ですが、日本ではいまだにアリセプト錠しか厚生労働省から認可がおりてないのが現状です。しかし、日本はご存知の様に今や世界一の高齢化社会で、65歳以上の方の13人に一人が認知症と言われています。アリセプト錠も良い薬ですが、諸外国ではそれ以外にも良い薬が認可、実用化され効果を発揮しています。医師会や薬剤師会も、もっと声を大にして状況をお知らせしたいのですが、さまざまな箇所に遠慮がある様です。

今後我々医師が色々な場所で薬の現状について、正確な情報を提供し、少しでも薬に対する抵抗感をなくしていく努力が必要と考えます。

 


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