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放射線検査に対する体への影響


東日本大震災は、世界最大級のマグニチュード9以上の大地震が起こり、その直後の津波で原子力発電所を壊滅状態にするわが国史上最大の天災となりました。破壊された市街地や、原子力発電所の一日も早い復興をお祈りすると供に、この天災で亡くなられた方々に黙祷を捧げたいと思います。
最近、未だ未解決の原子力発電所からの放射能の人体に与える影響が、マスコミを中心に取り沙汰されています。目に見えない放射能はとても恐いものです。特に、私の地元の広島市では、原子爆弾の残した爪あとが残っており、何ともやるせない気持です。
医療の現場でも、放射線とは無縁ではありません。ここで実際に医療で使われている各種先端機器の放射線について述べてみたいと思います。
今、医療で使用されている放射線はX線からの照射で、その線量の単位はミリグレーです。最近、よくテレビ等で耳にするミリシーベルトは、X線の他、α線、中性子線、電子線からの色々な照射線量を統合して使う単位です。なお、大切な事は線源により体に与える影響が異なる為、ミリグレーとミリシーベルトを統一に考える事が出来ないと言うことです。ここでは、X線から放出される線量(ミリグレー)について述べます。
当院では頭部MRI、頭部CT、各種一般撮影を行っています。MRIは御存知の様に、正式名称はMagnetic resonance imaging(磁気共鳴機器)の略語で磁石を使用して撮影している為、放射線の放出はなく人体には無害と考えられています。実際、お母さんのお腹の中の胎児の健康診断に使用しているほど安全な機器です。
頭部CTについて、大人が検査を受けた場合、脳には50~70ミリグレーの影響がありますが、神経組織は放射線に強い組織ですから、問題ありません。また甲状腺や生殖細胞(精子や卵子)の被曝はゼロで不妊症や遺伝的影響はありません。なお、将来白内障になる可能性もありません。
子供は、転倒事故などでよく頭部CT(10~18ミリグレー)を受けます。その場合の影響でも、脳腫瘍や白血病になる可能性はありません。不妊症や遺伝的影響も心配ありません。
妊娠中の方(妊婦)では、CT検査は線量が多いため胎児の被曝が問題になりますが、骨盤が含まれる以外の部位では問題なりません。
X線撮影(一般撮影)はCT検査と比較して、はるかに少ない線量ですから、人体に対する影響はありません。
以上、現在日常で使用されている医療機器は、使用方法を適切にまもれば、人体に対する影響はない物と考えて差し支えありません。

 


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