視床痛
- 2011年11月15日
- 院長コラム
脳卒中発症の患者さんの中の約8%に、数日から数ヵ月経過した後、脳卒中の対側に耐え難い痛みが出現する事が知られています。この痛みを発生させる部位は視床が最も多い事から、視床痛と呼ばれています。その他の中枢神経の部位としては、大脳皮質、皮質下、脳幹部や脊髄を侵されても同様の痛みが起こる様です。痛みの性質は、一般的には耐え難い痛みで、灼熱感の様な痛みと表現されます。この痛みの出現は、触覚、温度覚や精神的な情動でも簡単に引き起こされる性質があり、しばしば理学療法(リハビリテーション)の妨げになります。
痛みのタイプは、触圧覚や深部知覚の域値の上昇、不快な痛みを伴った疼痛、不快な異常感覚を伴った疼痛、強刺激によって引き起こされる疼痛などに分けられます。
この視床痛出現の原因は、知覚求心路(足から頭に向かう神経)の切断後に、切断の頭側の神経細胞の過剰放電が関係していて、この放電は中枢神経の多くの場所で記録されています。また、この過剰放電には興奮性アミノ酸の関与が知られてます。
治療法は内科的治療法として、トリプタノールとラミクタールが有効で、テグレトールは無効と報告されています。また最近ではリリカの有効性も注目されています。外科的治療法の主なものは、大脳皮質運動野刺激術や脳深部電気刺激術や脊髄電気刺激療法が知られています。