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妊娠と頭痛


 妊娠中の頭痛、悪心、嘔吐の大半は妊娠嘔吐(つわり)です。しかし、その中には、軽視できないものや他の疾患と鑑別が必要な場合がありますので、症状が強い場合には専門医(産婦人科医や脳神経外科医)に相談する必要があります。つわりは全妊婦の50~80%におこり、妊娠5週から16週の、胎児に重要な妊娠初期の器官形成期から母体側に胎盤が完成するまでの間に起こるようです。またつわりは、母体側が胎児を異種蛋白質(自分でない蛋白質)と認識する一種のアレルギー反応と考えられています。このアレルギー反応は、胎盤が完成した後はアレルギー反応が軽減される為つわり症状はなくなってきます。
 また、甲状腺機能亢進症等の基礎疾患を持っている方や多胎妊娠の方、不安感、恐怖感、ストレスを感じやすい妊婦に多く見られる傾向にあります。頭痛と嘔吐の程度が強いものでは、全身状態の悪化につながり妊娠悪阻(おそ)と呼ばれ点滴加療や入院が必要になる場合もあります。
 なお著者も、若い頃につわりの強い患者さんが妊娠している事に気が付かず脳神経外科を受診され、くも膜下出血と考えMRIを施行した経験があります。この様に、つわりの頭痛もくも膜下出血(バットで殴られた様な頭痛)と同等程度の方のおられます。
 治療法は、薬を飲まずに安静加療が基本です。殆どの消炎鎮痛剤は動脈狭窄症や羊水減少などの副作用が出現し禁忌(飲む事が禁止されています)とされています。
 どうしても薬を飲む必要が有る場合には、今までの経験や動物実験から安全性が確立されている薬を飲まれる事をお勧めいたします。次回詳しくお伝えする予定です。


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