片頭痛
- 2007年04月04日
- 院長コラム
頭痛特に片頭痛について
まずある患者さんの症状です。
○○さん20歳代女性。最近頭痛と吐き気がひどくなりました。頭痛の前に視野がおかしくなります。頭痛は小学校の頃からあります。頭痛の頻度は一週間に1~2回程度です。お母さんも頭痛があります。また市販の薬で効果がありますが、今日は効き目がない為受診しました。
上記の様な頭痛の患者さんが来院された場合、年齢や性別、頭痛の起こる時間帯、頻度と持続時間と程度、初発年齢、前駆(前触れ)症状、家族歴(家人に同じような頭痛はないか)等を総合的に判定し頭痛の種類を診断します。
頭痛の種類とその頻度は、緊張型頭痛(肩こりが原因の頭痛)が全体の70~80%、片頭痛が10%程度その他、群発性頭痛や頭の中に脳腫瘍や脳内出血が原因の頭痛があります。具体的な診察の進め方は、まず症状から必要な場合は頭部CTやMRIを行い頭蓋内に出血や腫瘍がない事を確かめます。異常がない場合は頭痛の原因は主に片頭痛か緊張型頭痛になります。なお片頭痛は必ずしも片側の頭痛ではない場合もあり両側に頭痛がある時でも片頭痛と呼ぶ場合があります。以下頭痛の特徴について列挙します。
- 患者さんの性別は片頭痛は女性に多く、緊張型頭痛は男女差がありません。
- 初発年齢は片頭痛は通常思春期から30歳頃までに始まります。緊張型頭痛の患者さんの年齢は少し上で中高年者に多いようです。
- 頭痛の起こる時間帯は片頭痛が朝から痛い事が多いのに対して、緊張型頭痛は夕方から起こるようです。また片頭痛は休日に多く、緊張型頭痛は平日に多いようです。
- 頭痛の頻度は片頭痛は多くても週に1~2回程度ですが、緊張型頭痛は不定期です。また頭痛の持続時間は片頭痛では2時間から多くて3日間に対して緊張型頭痛は不定期です。
- 頭痛の程度には個人差がありますが、一般的に片頭痛の方が緊張型頭痛より強いようです。頭痛の状態を想像したり、実際に頭痛時に首を横に振る事が出来るかどうかで判断が出来ます。ズキズキする痛みが強く首が触れない場合は片頭痛です。
- 前触れ症状は片頭痛に特徴的です。この状態があれば片頭痛と診断しますが実際に前触れ症状がある片頭痛は20%程度です。特徴的な症状としては閃輝性暗点と言って目の前の視野の一部が星が光る様にキラキラと光ります。持続時間は10~30分程度でおさまりますが、症状消失に伴い片頭痛が起こってきます。これは脳の表面の硬膜の血管の一時的な収縮が原因と考えられています。その他私の様に前触れ症状がない場合でも頭の中で独特の違和感や不安感や予知感がある場合が多いようです。
- 家人に同じ追ような頭痛がある場合は片頭痛と診断をします。通常緊張型頭痛は遺伝しません。
以上列挙した特徴を備えた頭痛が片頭痛です。上記の患者さんも片頭痛でした。たかが頭痛と考える事無く正確な診断のもとに治療を受けられてさわやかな日常生活を送られることを希望します。推定人口で日本には片頭痛で悩んでおられる方は約800万人と言われています。頭痛で一日を台無しにする事はもったいないことです。
次回は治療法についてお話します。