高血圧症の勉強会
- 2013年07月09日
- 院長コラム
クリニックで高血圧症の勉強会を行いました。当日は参加者は多くありませんでしたが、会の後半で日頃皆様が疑問に思われている事に対して御説明できる機会を持つ事が出来、充実した会になりました。以下勉強会の内容を①管理栄養士②薬剤師③医師の順番で記載します。
管理栄養士の説明のポイント
高血圧の食事療法のポイントは大きく分けて、①~③の3つのポイントがあります。
①適正体重の維持とエネルギーコントロール
●適正体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
現在の体重と比較して、太りすぎの場合はエネルギーコントロールが必要です。
例)身長が160cmの方の適正体重は1.6X1.6X22=56.3kg
●1日の適正エネルギー(kcal)=標準体重1)×身体活動量2)
1)標準体重=身長(m)×身長(m)×22
2)軽労働:25~30,中労働:30~35,重労働:30以上
例)56kgの人で軽作業25の人は56X25=1400kcal
②1日6g未満を目標に減塩(Step1~Step4)
●Step1:引き算感覚でまず“減塩”
食品の塩分量を知り、食塩を多く含むものを減らしたり除くことからはじめましょう。
※食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1,000
例)食品の栄養成分表示を見て100gあたりナトリウムが168mgとすると
食塩相当量は168×2.54÷1,000=0.4gになります。
●Step2:料理を工夫して“減塩”
・鮮度のよい食品や旬のものを用いて、素材そのものの味を楽しむ
・食材・調理法で薄味をカバー
・調味料は計量して使う
・素材の中に味をしみ込ませるよりも素材の表面に適度な味が付いている料理
・市販食品、加工食品の使いすぎは避ける
●Step3:汁物で“減塩”
一般的に、みそ汁を「飲む」から具を多くして「食べる」に意識を変えてみましょう。
●Step4:味にメリハリをつけてストレス軽減
1品だけを“少量”好みの味のものを添えたり、主菜にはしっかりした味付けをして副菜は少し塩分を控えるようにするなど一食の中でも味にメリハリをつけ、単調な味付けにならないように工夫しましょう。レモンの酸味を利用して減塩してみても良いでしょう。
③カリウムを十分にとる
野菜や果物、いも類、海藻類に含まれているカリウムは、ナトリウムを体外に排泄して、血圧の上昇を防ぐ働きがあるため、献立に取り入れてバランスのよい食事にしましょう。
薬剤師の説明のポイント
高血圧の薬物治療について
①高血圧を放置することで、「動脈硬化」が進み「心臓病(狭心症、心筋梗塞)、脳卒中」を発症する確率が高まり、死に至ることもあるので、「血圧が高い」と言われたら治療を開始しましょう。高齢者の高血圧症で薬を服用している場合、服用しない場合に比べて、脳卒中の死亡率が36%減少し、心筋梗塞や狭心症の死亡率が25%減少した報告があります。更に高血圧症の治療で「認知症」も予防できることがわかっています。
②血圧は、年齢や疾患(糖尿病、慢性腎臓病など)によって降圧目標の値が変わってきますので、適正な血圧を知って治療を行いましょう。
③薬で治療をされていても降圧目標を達成できている方は約3割との報告があり、1種類で目標値に達成できない場合は、2種類以上の薬を飲む場合があります。最近では、合剤(ごうざい)と呼ばれる2種類の成分が1錠になった薬が多く発売されるようになり、治療効果が高まっています。
④最後に、「お薬を頼もしい味方と考え、前向きに続けていきましょう」、「血圧が下がっても自己判断で勝手に薬を止めたり、減らしたりしないようにしましょう」の2点をお伝えしました。
医師の説明のポイント
①高血圧症とは血圧が高い状態が続いてしまう病気です。目だった症状はありませんが、高い血圧が続くと脳血管や心臓にダメージを与えます。
②高血圧症の原因の90%以上は生活習慣や遺伝が関係しています。塩分の取りすぎや過労、ストレスでも血圧を上昇させます。
③適正は血圧の値を知る事や自宅での血圧測定の方法をマスターしましょう。また季節で血圧の変化する事や肥満解消で血圧が改善する事も知りましょう。