外科治療で治る認知症
- 2007年09月15日
- 院長コラム
認知症(痴呆症)の原因には前述の様に全身性及び代謝性疾患の他中枢神経が原因としてはアルツハイマー型痴呆症、前頭側頭葉型痴呆症(ピック病等)、脳血管性痴呆症、水頭症、慢性硬膜下血腫等が代表的な疾患としてあげられます。この中で外科治療を必要とし更に認知症が治る可能性がある代表的な疾患に下記の水頭症と慢性硬膜下血腫があります。
水頭症とは脳内に本来150cc程度ある脳脊髄液が、さまざまな原因(出血、感染症、加齢等)で増量し脳を圧迫する事で脳血流が低下し認知障害が引き起こされる病態です。手術は余分な髄液をお腹の中に誘導する為の短絡チューブを設け、髄液がある一定以上の量(圧)になると流れ出る特殊なシステムを使用して脳の圧迫を解除させて治療をします。治療すると早い例では数日から1ヶ月程度の間に認知症が改善します。
慢性硬膜下血腫は多くの場合、頭部外傷後約1~3ヵ月経過して頭蓋内の硬膜下に血腫が貯瘤して脳を圧迫する事で症状が出現します。血腫の形成は頭部外傷時にCTやMRIでは描出が出来ない程度の小さな出血が存在し、この血腫の回りに膜が形成がされ、更にこの膜表面に新たな血管新生とそこからの出血が内部に起こる事で血腫が増量すると考えられています。一般的に推定血腫量が約50cc以上になれば手術適応があります。治療は頭蓋骨に長径1cm以下の小さな穴を設け血腫膜の内部を生理食塩水で洗浄する事で完了します。水頭症同様数日から1ヶ月程度の間に認知症が改善します。