癲癇について


癲癇大部分はそれ程大変な病気ではありません。きちんとした治療を受ける事で70~80%の人で発作が消失し、また日常生活に殆ど支障がありません。癲癇の定義については大脳神経細胞の過剰発射に由来する癲癇発作を主症状とした慢性の脳神経疾患です。発作の程度は、本人だけが気がつく程度の意識消失発作からけいれん発作を主体とするものまで程度は様々です。

癲癇の原因は出産時や新生児期に髄膜炎(脳膜炎)等に罹患して脳に損傷を受けた事で起こる症侯性(続発性)癲癇と、癲癇を起こし易い体質で起こる原発性(特発性)癲癇に分かれます。また、癲癇は遺伝病ではありません。癲癇が同一家系にみられる事はまれな事です。なお癲癇と知能障害とは、ほんの一部の例外を除いて関係がありません。過去の例でもロシアの文豪ドストエフスキーやナポレオンやジュリアス・シーザーが癲癇を持病として持っていた事はよく知られている事です。

癲癇の診断には臨床症状、脳波所見(癲癇波の確認)、 MRI検査等を総合して判断をします。MRI検査で脳の詳細な構造を検査する目的は癲癇発作の中に稀に脳腫瘍を合併例があるからです。癲癇の治療は薬物療法になり、手術等は一般的にはしません。薬物療法を継続して発作が3~5年間コントロールされ、また脳波で正常化していれば内服薬をやめれる可能性が 80%程度あります。

日常生活の注意事項としては極端なストレス、睡眠不足、暗い所でのテレビゲーム等を控える必要があります。つまり規則正しい生活が大切です。妊娠については、薬で発作が予防できている場合に服薬を継続しながら妊娠及び出産をして頂く事になります。内服薬を休薬したり、あるいは減量した場合に妊娠中に癲癇発作を起こし母子共に危険な事にならない為です。しかし妊娠中に抗痙攣剤を継続した場合、服用していない妊婦さんと比較して障害児(ごく軽い奇形や障害も含めて)の出現率が約3倍、つまり一般の妊娠が3%に対してその数値が9%へ上昇すると報告されています。従ってお子様を生む場合は、障害を持った子供さんが生まれる可能性がある覚悟をあらかじめ夫婦で持つ必要があります。

 

ふるえについて


ふるえるの状態を医学的に振戦と呼びます。振戦症状で最も頻度は多くかつ病状が進行しないものとして本態性振戦と言う病態があります。その他振戦を主な症状とする疾患にはパーキンソン病、脊髄小脳変性症、アルコール中毒、薬物中毒他、稀な遺伝的な疾患等があげられます。

本態性振戦は口、頭部、手足、声のふるえのみの症状の疾患で、振戦の頻度は1秒間に4~8回で、20~40歳頃に出現します。振戦は緊張した時やストレス時や睡眠不足で顕著になります。診断には振戦の他に歩行障害等の神経症状がない事と振戦の振幅が小さい事等で診断をします。症状の原因については原因は不明で、治療法は一部の降圧剤や安定剤が効果を示す場合がありますが、この場合一時的に振戦が軽快をするのみで治癒する事はありません。

鑑別診断としては上記の疾患があり、例えばパーキンソン病はふるえの左右差、振幅が大きく頻度もゆっくりの事で、脊髄小脳変性症は歩行障害や他の神経症状の出現から、アルコールや薬物中毒や遺伝的な疾患は病歴から判断をします。

 

脳卒中をどうやって予防する?


脳卒中の予防には、その原因つまり危険因子を良く知り、生活習慣を改善する事が重要です。それ為には、危険因子への正確な知識を持つ事が大切です。

この危険因子には、予防可能なものとそうでないものがあります。予防不可能な危険因子を具体的に挙げると年齢、性別、遺伝的素因があります。例えば、脳梗塞では80歳代の方は60歳代の方より3倍の罹患率があると考えられています。また男性は、女性よりも脳梗塞罹患率が高い事が知られています。更に父親が脳梗塞の場合は約8倍、母親が脳梗塞の場合は約3倍、脳梗塞に罹患しやすいとする報告もあります。これらはあらかじめ予防が不可能ですが、正確な知識を持つ事が大切な事と考えます。その一方で、生活習慣を変えたり、薬を服用したり、運動や食事療法で予防が可能な危険因子もあります。具体的には、高血圧症、糖尿病、高脂血症、喫煙、過度の飲酒、高尿酸血症、心臓疾患の合併等があげられます。上記の生活習慣病(高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、心疾患)にそれぞれ単独あるいは複数に罹患すると脳卒中の罹患率が数倍から数十倍になります。また喫煙に関してはタバコ1本/日から危険率が上昇しますので禁煙が必要です。飲酒に関しては、1日にビール1本、又は日本酒1合程度で止めておきましょう。運動療法に関しては、激しい運動をする必要はなく自分の体力に合わせて歩く事をお勧めします。具体的には1日6000歩(2~3km)程度が理想の様です。今からの季節は室内と室外との温度差があり、長時間外出される場合は厚着をしてまた、特に寒い日のゴルフやテニスは控える様にしましょう。

最後に、40歳以上方は少なくとも年に1回程度検診を受けられ、自分の健康状態をよく知る事が重要です。もし上記の危険因子に心あたりのある方は一度脳のMRI検査を受けられる事をお勧め致します。MRI検査を行う事で、無症状であっても脳梗塞(かくれ脳梗塞又は無症候性脳梗塞)が見つかる事や、破裂してクモ膜下出血を起こす前の状態の血管の瘤(未破裂脳動脈瘤)が見つかる事もあります。その場合は専門医(脳神経外科、神経内科)の治療が必要になります。

 

ラクナ梗塞(孔梗塞)とは?


脳梗塞は脳の動脈が閉塞して脳細胞が虚血(乏血)状態に陥り回復出来なくなった状態を言います。この脳梗塞には2種類あり脳の太い動脈(主幹動脈の第 3~4分枝まで=長径1mm前後以上の太さの血管)が閉塞して起こる狭義の脳梗塞と穿通枝動脈(長径200~300Å=0.2~0.3mmの太さの血管)が閉塞して起こるラクナ梗塞(梗塞の長径25mm以下のもの)に大別されます。ラクナ梗塞は別名孔梗塞と呼ばれています。この孔の意味は突き抜けた孔と言う意味ですから脳実質内に突き抜けた状態で存在している梗塞の事です。ラクナ梗塞は最近まで日本人に多く、狭義の脳梗塞は欧米人に多いとされてきましたが、日本人の食生活の変化(洋食化)によりラクナ梗塞対脳梗塞の比率も欧米に近づいています。事実かつて平均寿命が全国ナンバーワンであった沖縄県の男性の平均寿命が第17位に転落した統計結果も無関係ではない様です。

脳梗塞の主な原因は予防できない危険因子としは家族歴(第3親等内の身内に脳卒中がないか)、性別、年齢があり、予防可能な危険因子として、高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、喫煙、飲酒、心疾患の合併等があげられます。

一般的に加齢のみでも大脳深部(白質)にラクナ梗塞が出現し、早い人では40歳代から無症候性脳梗塞(手足の麻痺等のない脳梗塞)を認めます。従って患者さんの年齢、ラクナ梗塞の数と大きさと存在場所によって加齢変化か病的な変化かを鑑別する事は日常診療で重要です。

当院ではラクナ梗塞の大きさが10mm以上でラクナ梗塞が脳のより中心部に存在する患者には症侯性脳梗塞が将来出現する可能性を考えて抗血小板療法を行なっています。それ以下の大きさで加齢変化よりラクナ梗塞の数が多く存在しいる患者には上記の危険因子の予防療法をお勧めしています

 


2011 (c) Yamamura Brain Clinic All Rights Reserved.
脳卒中(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)の予防・早期診断や脳ドック頭痛外来めまいしびれの症状でお困りの方は広島市中区の山村クリニック(脳神経外科、神経内科、放射線科)へお越し下さい。