痴呆症について(特にアルツハイマー病について)
痴呆症とは知的レベルが正常に発達した後に慢性に進行し知的機能低下症を起こす病態です。高齢者で痴呆症状を示す疾患は多数ありますが、代表的な疾患としてアルツハイマー病、血管性痴呆症、水頭症、慢性硬膜下血腫等があります。治療可能で予後が比較的良好な後2者に対して、アルツハイマー病と血管性痴呆は治療が困難で予後も不良の為に痴呆症状を早期に発見し予防する事が重要です。
血管性痴呆症は脳梗塞等の脳血管障害に合併する痴呆症で痴呆症状が急速に起ったり段階的に悪化する特徴があり、また痴呆症の他に運動麻痺や失語症等の神経症状がみられます。
アルツハイマー病は1901年ミュンヘンの精神科医のアルツハイマー氏が最初に報告した初老期の進行性痴呆症です。わが国でも診断方法などの発達から増加傾向にあり、現在痴呆症状の原因の第1位と推定されています。ちなみにその総数は65歳以上の方の20~30人に1人と考えられています。原因については家族性(遺伝子の異常)が原因の報告もありますが、実際の家族歴(遺伝歴)は全症例の13%しかなく、主原因については今後明らかにされていくものと思われます。臨床症状は記憶力障害に加え認知障害(思考障害、失行症、失語症等)があります。脳の障害部位は海馬(その形がタツノオトシゴに似たている事から)、側頭葉側面から次第に頭頂葉や後頭葉に拡がり脳の萎縮が起ってきます。診断には臨床症状、御家族のお話、知能テスト、頭部MRIでほぼ可能ですが SPECTやPET等ので脳の代謝の低下が分かれば確度は更に高まります。治療は脳のアセチルコリンという物質の減少が原因で痴呆症を起こすと考えらており、この物質を脳内で壊す酵素の働きを弱める薬を使用して病気の進行や改善を行ないます。
めまいの症状から末梢性の疾患が原因か中枢性の疾患が原因かを見極める方法は臨床症状から困難です。通常は頭部MRI検査などの精密検査が不可欠となる場合が多いと考えます。
めまいの治療は多くの場合(脳腫瘍や脳主幹動脈の閉塞症以外)その原因に関わらずまず内服薬、安静、点滴加療が中心となります。内服薬は抗めまい薬、制吐剤、脳血流改善剤、ビタミン剤等が主体です。点滴加療は主にめまいを改善させる効果があるメイロン注射が中心となります。また、めまいの原因の多くはストレスや睡眠不足、季節の変わり目等の際に起る事から安静加療も重要となります。
院長コラム:めまいの代表的な疾患
はじめに:めまいとは自分の周りの物が回転したり、動揺したりまた自分自身が船酔いの様な状態の総称です。めまいの原因は頭蓋内病変等の中枢神経系疾患と耳鼻科疾患の末梢神経系疾患と全身疾患の3タイプに分かれます。原因は多岐にわたりますが代表例を列挙します。
- 中枢神経系疾患
脳血管障害の代表例として椎骨脳底動脈循環不全症があります。この病態は脳の中の体のバランスを司る脳幹部及び小脳へ分布をしている血管である椎骨動脈及び脳底動脈の血流不全(流れ難い)為に起るものです。血流不全には血管の動脈硬化による血管の走行の蛇行から脳梗塞の前段階の血管の狭窄症や閉塞症が原因で起ります。後者の場合は命に関わる事もありますので、めまいが継続する場合には一度MRI等で脳血管の状態を調べる必要があります。なお上記の血管の動脈硬化がMRI上軽症の場合でも他には原因なく、めまいを自覚されるケースによく遭遇します。その場合は推定ですが脳底動脈や椎骨動脈から分枝する穿通枝(長径 200Å程度の血管)の動脈硬化やまた先天的に穿通枝の本数が少ないケースがあるのではと推定しています。この場合は通常脳梗塞へ悪化する可能性は低いようです。その他大脳半球の特に前頭葉の脳梗塞でも、めまいを自覚する場合はあります。
また別の原因として聴神経腫瘍や脳幹部腫瘍等脳腫瘍が原因の場合もあります。 脳腫瘍の早期発見の場合に完治する場合が多いですので、めまいが継続する場合は精密検査を受ける事をお勧め致します。
- 末梢神経疾患
めまいの原因の末梢性疾患(三半規管)としてメニエール病があります。この病気は、めまいはメニエール病と言葉の語呂の良いので一人歩きして、めまいなら何でもメニエール病と考えがちです。実はある統計によると一般の外来で0.6%、めまい専門の外来でも5%程度と頻度の少ない疾患です。またメニエール病は原因が内耳のリンパ浮腫である事から回転性のめまいに必ず伴う症状としては耳鳴りと難聴があります。なお、めまいは片側でも両側でもかまいません。
他に蝸牛の耳石の移動する事が原因の発作性頭位変換性めまい症があります。この病態はある一定の姿勢になった場合例えば左下向きに寝た場合等に回転性のめまいが起る症状です。
- その他
甲状腺機能低下症、貧血等でも、めまいが起る場合があります。
上記何れも場合も継続するめまいにはまず頭蓋内の精密検査をされ脳血管障害や脳腫瘍等がない事を確認する事が大切です。
何処か気になり心配になる頭痛
緊張型頭痛とは肩や首筋の筋肉がこる事が原因でおる頭痛です。頭痛の原因の70~80%を占めます。緊張型頭痛は、筋緊張型頭痛や大後頭神経痛と同義語です。肩こりの原因については、重い頭を細い首で支えている為や頚部の筋力の問題や姿勢、筋肉の血流障害(脳卒中とは無関係の)或いは精神的なストレス等が相互に作用して肩こりが起こります。その関連痛として緊張型頭痛が起こります。
後頭部やコメカミが痛い、頭のてっぺんの方が痛い等痛みの箇所は多種多彩です。また痛みの方も押さえつけれる様な、きりきりする痛み、鉢巻を巻いた様な痛み等その表現も多種多彩です。痛みはストレスやデスクワークや疲れが原因ですから何時とはなく始まる事が特徴的です。また朝よりも夕方に多いタイプです。また休みの日等には痛みを忘れている事も特徴的です。しかし痛みがひどくある程度長時間に及べは吐き気や嘔吐を伴うがあります。これは痛み刺激が脳の延髄にある嘔吐中枢を刺激するためと考えらていますが、念のため頭部MRI やCT検査が必要と考えます。
治療法は肩こりが原因ですので肩こりをほぐすマッサージや入浴、頭痛がひどい場合には鎮痛剤や筋肉のこりや緊張をとる意味で筋弛緩剤や安定剤も効果を示します。