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認知症とは

認知症とは、一度正常に発達した認知機能が後天的な原因で障害された状態を言います。後天的な原因として代表的な疾患は、①中枢神経の変遷疾患としてアルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。②血管性認知症として脳梗塞があります。その他、③慢性硬膜下血腫、④正常圧水頭症、⑤頭部外傷後遺症 ⑥感染症治癒後等があります。認知症の頻度はわが国では65歳以上の方で4~10%程度報告とされています。中でもアルツハイマー病の増加が顕著です。そこで、それぞれの認知症の特徴について説明いたします。

中枢神経の変性疾患

アルツハイマー症

アルツハイマー病

初期には、物忘れがあり緩徐に進行します。徐々にうつ、性格変化が続発します。その後、人付き合いの変化や職場でのトラブル等が起こります。この段階でも患者さんは通常病識がなく、取り繕ったり、作話などでごまかそうとする特徴があります。更に症状が進行すると着替え、トイレ等が困難となり次第に認知機能障害以外の興奮状態等の精神症状が出現します。検査では認知機能障害及びCTやMRIで両側海馬の萎縮を認めます。

レビー小体型認知症

初老期、老年期に発症し幻覚等やパーキンソニズム(錐体外路症状)等特有の精神症状を呈する神経変性疾患です。この疾患は、認知症の15~20%ありアツルハイマー病に次いで多い疾患です。幻覚は人物幻視が多いのが特徴です。その他、小動物や虫の幻視等があります。その他レム睡眠行動異常といって、悪夢に伴い、声を出す、暴れる等の症状を認めます。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症

顕著な人格変化、行動障害、言語障害を主体とする変性疾患です。特に行動異常が主な臨床症状です。この疾患は、レビー小体型認知症の様に幻視がない代わりに、脱抑制、多幸の頻度が高い様です。行動異常では社会的対人行動異常があり、礼儀の欠如、道徳観念の喪失、社会ルールの無視など社会性の障害が目立ちます。また常同行動といって、毎日同じ物を食べたり、同じコースを何kmも散歩する異常を認めます。この疾患は、アルツハイマー病と同じ様な治療ではかえって病状が悪化する場合があり、鑑別が重要です。

血管性認知症(ビンスワンガー型)

血管性痴呆症

脳への栄養血管が閉塞(つまる)事により、脳の働きが悪くなり、認知症をおこします。脳梗塞が有る程度大きなもの、多発性のものに起こります。このタイプの認知症は突然急性発症したり、段階的に悪化する事が特徴です。また、認知症以外にも障害された部位により手足の麻痺、言語障害、感情失禁(感情のコントロールがつかず直ぐに泣いたり、怒る)等の症状を合併します。

慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫

頭部外傷の項を参照して下さい。この疾患は上記の認知症と違い、殆どのケースで手術により改善する認知症です。

正常圧水頭症

正常圧水頭症

頭部CTやMRIで脳室拡大を認め、髄液の圧が正常範囲でなおかつ歩行障害、認知症、尿失禁が比較的短期間で出現する疾患です。原因不明(老化現象等)のものを特発性正常圧水頭症と呼び、くも膜下出血や髄膜炎治癒後のものを続発性正常圧水頭症と呼びます。歩行障害が特徴的で、足を左右に広げすり足で小刻みに歩きます。この疾患も手術(脳室ー腹腔髄液短絡術)により改善可能な認知症です。

頭部外傷後遺症

頭部外傷後遺症

頭部外傷の項を参照して下さい。頭部外傷で傷害を受けた程度に応じて様々な程度の認知症が起こります。

感染症治癒後の認知症

感染症治癒後の認知症:単純ヘルペス脳炎が有名です。年間の患者数は400名程度です。死亡率は10%でと高率で社会復帰率は30~50%程度と大変恐ろしい疾患です。ヘルペスの感染経路やはっきりとした病態にについていまだ不明ですが、血行性とする説があります。脳炎は主に側頭葉を中心に感染を起します。認知症の程度は脳の罹患した範囲に左右されます。

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