「脳神経外科は敷居が高い、怖い」とか、「気になることはあるけど大したことないだろう」という理由で、つい受診を後回しにしてしまうことがあるかもしれません。しかし、病気を克服する大きなポイントは”早期発見・早期治療”。上記の項目のような症状が必ずしも脳疾患であるとは限りませんが、少しでも「おかしいな?」と感じる点があれば、どうぞご来院ください。
どちらのケースも最初の頭痛で病院を受診していれば早期発見でき、大事に到らずすんでいます。片頭痛をかかえている人でも、いつもの頭痛と少し違うなと感じたら、すぐ病院を受診ください。
※ケースはあくまでも、事例の一部です。
60歳代、女性。受診前日の朝10時頃にトイレで気張った直後より激しい頭痛を自覚しました。その際に生汗が出ました。腰痛があります。翌日当院を受診。受診時に頭痛と吐き気がありました。頭部CTでくも膜下出血と診断。最寄りの総合病院へ紹介受診し、事なきを得ました。
50歳代、男性。以前から右脳内出血後遺症がありましたが、幸い後遺症がなく、その後病院への通院歴ないままに、高血圧症を放置していました。ある冬の朝、右手のしびれ感及び呂律困難を自覚し、他内科より紹介受診となりました。頭部MRIの結果、以前からの右脳内出血後遺症に加えて左大脳半球に梗塞巣が出現していました。点滴加療及び抗血小板療法にて症状は落ち着きました。
40歳代女性。以前から高血圧症の指摘を受け、会社の診療所で降圧剤の治療を受けていました。発作前、家庭の事情で会社の勤務以外に不眠症及びストレスが重なり血圧が知らない間に上昇していた模様です。夕方の仕事中に突然両目の左視野が見えなくなり、会社の診療所より紹介受診となりました。頭部CTで右後頭葉の脳内出血が判明しました。
40歳代、男性。1ヶ月前からの左手のしびれ感の為来院。高血圧と痛風の薬を服用中です。症状は、感覚障害で明らかな左手の麻痺はありませんでした。頭部MRIで両側の中大脳動脈狭窄症を認めました。患者さんの年齢や、脳血流の所見等からバイパス手術を施行し、現在社会復帰されています。
40歳代、女性。右目の視力障害で眼科より紹介受診される。視力障害は、5分間程度で右目の視野が上から黒いカーテンが降りる様に見えなくなります。その後、やはり上から視野が徐々に元にもどる症状がありました。症状から一過性黒内障を疑い、精密検査を施行する。その結果、頚動脈狭窄症と頭蓋内血管の狭窄症を認めました。頚動脈及び頭蓋内血管の狭窄所見から内服薬で症状は軽快し、経過観察中です。