「脳神経外科は敷居が高い、怖い」とか、「気になることはあるけど大したことないだろう」という理由で、つい受診を後回しにしてしまうことがあるかもしれません。しかし、病気を克服する大きなポイントは”早期発見・早期治療”。上記の項目のような症状が必ずしも脳疾患であるとは限りませんが、少しでも「おかしいな?」と感じる点があれば、どうぞご来院ください。
どちらのケースも最初の頭痛で病院を受診していれば早期発見でき、大事に到らずすんでいます。片頭痛をかかえている人でも、いつもの頭痛と少し違うなと感じたら、すぐ病院を受診ください。
※ケースはあくまでも、事例の一部です。
40歳代、女性。寝ていて急に起き上がろうとした瞬間に回転性のめまいが出現しました。最近、仕事と家事が忙しく、睡眠不足とストレスがある状態です。また首を左に振向くたびに、めまいがある為来院。頭部MRIでは異常所見はありませんでした。臨床症状及び画像所見より良性発作性頭位めまい症と診断しました。
70歳代、女性。最近特に忙しく、歩いていて船の上に載った時の様な浮遊感を自覚します。また歩く際に左へ左へ傾く傾向があります。このため当院を受診し、頭部MRAで椎骨動脈の狭窄所見を認め椎骨脳底動脈循環不全症と診断をしました。
50歳代、男性。会社の飲み会で食事中トイレに立ち上がった瞬間に、急に回転性のめまいと呂律困難が出現しました。数分間横になったところ、症状は落ち着きました。翌日当院を受診し頭部MRIを施行し右側の主要血管(中大脳動脈)の閉塞症を認めました。
70歳代、男性。他医院より一時的なめまいの精密検査で紹介され来院。今まで、高血圧症と高脂血症の治療中でした。家族の中には脳卒中方はいません。頭部MRIでは異常なしはありませんが、頚部エコー検査で右頚部内頚動脈は61%の狭窄症、左頚部内頚動脈は35%の狭窄症を認め、症状のめまい症の責任病巣と診断しました。その後、脳血流改善剤や抗血小板剤で症状は軽快しましたが、定期的に頚部エコーで経過観察中です。
60歳代、女性。3日前から頭を動かすとめまいがありました。最近、ストレスと睡眠不足が続いています。耳鳴りや難聴はありません。また回転性のめまいでもありません。頭部MRI及び頚部エコーでは異常はありませんでした。以上から、耳鼻科的なめまいでも、脳血流の減少からのめまいではなく、良性発作性頭位めまい症と診断し投薬を開始し、症状は改善しました。